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デザイン・DTPのニッチで泡沫的知識を集積

DTP Boosterを勝手にフォローアップ・2

さて、続く講演者は「大石さん」

実のところ、彼の話が一番聞きたかったのです。私も文字組に関していろいろと思うところがあるほうなので、写植屋あがりのガンコな組版スキルをぜひ見てみたかったのですよ。

メトリクスとツメの関係を工学的に解説する内容は、とても参考になりました。なんとなく分かっていたことでも、体系的な知識の裏付けがないと「ことなかれ」な設定になりがちです(もしくはトンデモ設定)。こちらについてはフォローはありません。

それに続いて禁則処理の「調整量優先」について話されたのですが、時間が押し気味で「……てな問題も、文字組アキ量設定をいじったりしてうまいこといったりするんですわ」とたたみこんでしまわなければならなかったのが非常に残念でした。続きが聞きたかったです。

そう。実は私も「調整量優先派」なんです。で、思うところ同じ。氏が述べていたように「調整量優先」で「ぶら下がり・行末約物全角」の設定だと、バグのために論理的な結果が得られません。

ところで。

昨今の雑誌では「ぶら下がりアリ」の縦組み本文でも、行末約物全角“は”嫌う傾向があります。結局、横組みのコラム(ぶら下がりなし・行末約物半角)が混在したり、狭い空間の仕切られ具合なんかの問題があって嫌われるのでしょう。

「そーいう文末をどこかで調整して回避したい……」

こういうニーズを満たすなら、アプリ寄りに考えると「日本語段落コンポーザ」を使うということになるのですが、まぁ、アレはナニなのは周知のことなので使いたくありません。ならば、ということで単に「追い込み優先」にする。と、これまた思うように動作してくれない(追い込む必要がないからね)。かといって、面倒だから「ぶら下がりなしのジャスティファイ」ってのは本文としてはちょっとイタダケナイ。本文はあくまで基本固定ピッチでないとね。

そこでスクリプト!……ではなく、「文字組アキ量設定」なのです。でも、その前に。

先に「調整量を優先」の挙動を単に「バグ」としてしまいましたが、Adobeの言い分も分からなくはないんですよ。それは「調整量を優先」のアルゴリズムを察すると、まぁ、そうだろうなと思うからです。もとより、これは基本的に「ジャスティファイ系」の組版で使用するのを前提としているのではないかと考えています。

ここら辺は氏も承知のことと思います(だから「あえて~」というタイトル)。セミナーでもこのアルゴリズムについてちびっと説明していたのですが、何分、不慣れな借り物PCの操作にいそがしく、肝心のところの説明がうつらうつらしていた感がありました。なので、その現象を含め、タイムアップでもれた(であろう)部分をフォローアップ。

InDesignは常に行末や行頭の禁則処理を考慮します。そして行末に約物がきた場合、InDesignはとりあえず「追い出す」か「追い込む」かを設定値によって分岐します。これらの設定では、その後、いずれかの処理が必要か否かの判定をします。その結果、セミナーのようなケースの場合は「なにもせんでええ」ということになり、行末の句点が浮いた状態になります。

これが「調整量を優先」の場合、まず「禁則処理をどっちにふるか?」というところから考え始めます。「だって、どっちにするかという優先順位が決まってないんだモン(ID談)」。うむ、おっしゃる通り。「ほな、判定基準は何やねん?」というわけでIDのマニュアル(ヘルプ)を見ると……

文字を追い出したときの文字間隔が、文字を追い込んだときに圧縮される文字間隔に比べて極端に広くなる場合は、「調整量を優先」を選択して文字を追い込みます。


と、書いてあります。

「あぁ、そこの君、君や。もう一度アタマの所を読んでくれへんか?」
「文字を追い出したときの……」
「ハイ、もうエエよ。座ってください」

そう、比較判定基準は「追い出したときより」と書いてあります。つまり、行頭禁則のソレも含めて都合2W送られた状態と、句読点をツメた結果を比較することになります。もう、比較するのもばかばかしい感じですね。結局アレは追い込みで処理されるというわけです。まぁ、ヘルプの文面を見る限り、「追い出す必要がない」ということは考慮していないんでしょうね。

これが「ジャスティファイ系組版」を前提にしているのではないかという推測のゆえんです。ジャスティファイなら、概ね判定は1/2Wレベルのガチ勝負(!?)です。「その句読点、入れるか入れないか(もちろんほかの禁則も)」。

「まだココんとこ詰まるがな。送ったらアキ過ぎやって」「何言うてんねん。こっちはもうちょっとも入らへんよ。マルと1Wくらい送らせて~な」

ID内部(大阪仕様)でそんな楽しげなやりとりが行われていると思うと、ちょっと覗いてみたくなりませんか? 覗きたくない? えぇ~、嫌いじゃないくせにィ~

その「具合」やら「優先順位」やら「程度」を決めているのが「文字組アキ量設定」なのです。セミナーのそれで言うなら、「行中」「行末」の句読点を「50%固定」にしてみてください。次の行から文字が追い込まれなくなり、行末の読点も浮いたままになるはずです。

ふぅ。

で、なんだっけ? あ、「ぶら下がりアリ」の縦組み本文でも、行末約物全角は避けるって設定についてだ。

あの組み合わせの設定だとそういう現象が起こるわけですが、そのアルゴリズムを逆手にとって「文字組アキ量設定」をうまいこと調整すると、「日本語段落コンポーザ」で得たい効果の“ように”働かせることができるのです(そんな感じの、ね)。「日本語段落コンポーザ」と違い、これなら自分で設定を調整するので結果がある程度読めます。

さらにその時「仕上がりをキレイにまとめる」コツを一言でいえば、「ツメを約物だけに頼らない設定」がキモ。ああいう状態(セミナーのサンプル)で追い込んでくれるのはニーズに合っている。が、約物だけ詰まってごらんなさいよ。区切れという本質を失っちゃうべよ(いかん、なまりは大阪モードだった)。そういう所は「文字組アキ量設定」を上手に使こうて、ほかの文字クラス間もちびっとづつ詰まるように調整しないとあきまへん。

具体的には「約物の最小値を0%にしない」ことと、それを吸収するために「カナ・かな」間に若干ツメる余地を与えておくこと(できればそのほかの組み合わせも設定)。そうするとツメを約物だけに頼らなくて済むのよ。な~んとなく約物半角処理に見えて、よく見るとそうではないって感じの値をトライ&エラーで見つけていくのです。

でも。これらの値は1行の文字数によって変わってくるし、媒体ごとに欧文・かな・カナ・漢字などの出現頻度が違うから、それによっても変わってきます。かなりシビアな調整なのよ。だから1誌ごとにそれを作らなければなりません。

「それを、アレでいじるの?」

そうです。

「アレってめんどくさいんだよなぁ……」
「プリセットや配布ものじゃダメ?」

ダメです。さっき1誌ごとやらなアカン言うたがな。

そ・こ・でっ! スクリプトです。

でも、バッチ系処理じゃないからスクリプトだけじゃ事足りない。で、結論から言うとオジサンREALbasicでこーいうの作って使ってんのよ(画面)。

0017A.png こーいうの

あくまで俺仕様のインターフェースなので、まだ公開できないんだけどね。こういうツールがあるとトライ&エラーがガンガンできるので、「文字組アキ量設定」をおっくうがらずに作ることができます。

そら、こういうのなければヤル気起きまへんがな、アドベさん。

ツールも仕上げなければなりませんが、ほかにも「段落スタイル」とか「文字スタイル」の使い分けとか、そういうことをドキュメント化したいのですが、なかなかまとめきれなくてねぇ。

長文になってしまいましたが、ここら辺はそんだけ私がこだわっている部分なんスよ。
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コメント

大石さんの話は、すごく刺激的でしたね。
あれが「正解」なのか、どんな「別解」があるのか、どれが「最適解」なのか、誰かがひとつでも言い出さないといけなかったことだと思います。
誰かが意見を言うからこそ、そこに感想やら、ツッコミやらが入れられる余地がでてきます。

  • 2009/08/29(土) 09:43:04 |
  • URL |
  • せうぞー #EBUSheBA
  • [ 編集 ]

Re: タイトルなし

> あれが「正解」なのか、どんな「別解」があるのか、どれが「最適解」なのか、誰かがひとつでも言い出さないといけなかったことだと思います。

ホント、ああいう細かい……恐らく大抵は「別にいいじゃん。OTメトリクス・オンだけで」というところを、「それでええのん? 分かってモノ言うとる?」と、疑問符&仕組み&結果を詳説していただけたのはよかったです。

これから自動組版的なものが増えるでしょうし、そうなったときは今以上に「(基本的に)流し込んで即OK」な状態を作り出さなければいけません。そういった時代になると我々は職を失うわけですが(笑)、そんな時代に向けて、「組版とは」といった様式美だけでなく、まさにそれを実現する「アルゴリズム」を残せていけたらと思っております。

  • 2009/08/29(土) 14:39:03 |
  • URL |
  • 中綴千頁 #-
  • [ 編集 ]

色々とありがとうございます。
もちろん「文字組みアキ量設定」も紹介したかったのですが……、ご存知の通りのテイタラクでした。
いい機会ですので、この辺について拙ブログで詳しく展開するツモリですので、成り行きを温かく見守ってやってください。

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「調整量を優先」かつ「ぶら下がり/あり」組版時にみるバグ

これは以前に「禁則処理のなんでやねん!」という記事で触れたことでもあるが、さらにその原因を探るとともに回避法までを考えてみた。 まず、不可解な状態を再現してみる。 前に使用した文章を適当に加工して、ぶら下がり対象文字が行末に(この場合20字詰の20字目)に位置

  • 2009/09/07(月) 12:29:31 |
  • なんでやねんDTP